保育士の人手は不足している?人材不足の原因と対策を紹介!

保育の現場では慢性的な人手不足が大きな問題となっています。
子どもが好きなことから働きはじめた保育現場で子どもたちの笑顔に囲まれ日々のやりがいをもって保育にあたりながらも、忙しさの中で、「人が足りない…」とふと立ち止まって考える瞬間はありませんか。

保育士の人材不足の現状

保育士の人材不足は単なる「人が足りない」という問題ではありません。
保育士は、子どもの命と成長を見守り、未来を育むだけでなく、みんながが安心して働ける環境を支える、社会全体の暮らしや経済活動を支える重要な存在です。子どもの笑顔や日々「できた!」という成長の瞬間に立ち会える仕事は、他にはないやりがいと価値を持っています。

しかし、尊い仕事の裏側の現場で働く方々の声に耳を傾けると、いくつもの課題があります。
子どもの命と成長を預かるという責任の重さ、そして、保育士の平均賃金は平均産業を下回り、責任の重さに見合った待遇とは言えません。次に、長時間労働や人員不足で心身の負担が大きくなっており、保護者対応や職場内のミュニケーションに悩む声もあります。その他にも保育資格を持ちながら、現場を離れている「潜在保育士」は100万人以上にのぼり、制度的な支援が進む一方で、現場の環境改善が追いついていないのが現状です。
こうした課題を一つひとつ丁寧に見つめ直し、保育士が安心して誇りを持って働ける未来のあり方を考えていきたいと思います。

保育士の人材が不足している要因

1.賃金の低さ

国税庁の調査で全産業の平均年収が約475万円とされる中で、保育士の平均年収は370万円で国家資格を必要とする専門職の中では最下位クラスにあたります。

保育士の給与は、主として国・自治体からの運営補助金(公費)および保護者からの保育料で賄われています。
運営補助金は、国や地方公共団体が定める「公定価格」や配置基準に基づいて支給され、施設の収入の大部分を占めます。
一方、保育料部分も制度設計上、所得や子どもの年齢などで上限が設けられており、自由に値上げすることはできません。(※補助金には使途制限があるものの、給与配分は法人の裁量に委ねられています。)
このように収入源が制度的に制約されているため、施設側が人件費を大きく増やすことは難しく、結果として保育士の賃金上昇は限定的になりがちです。
近年は「処遇改善臨時特例事業」による補助金(いわゆる月額9,000円程度の賃金引き上げ相当を補助)を活用する動きもあり、すべての施設・保育士が等しく恩恵を受けられるわけではないものの、待遇改善への下地にはなりつつあります。

2.労働環境の負担

そこで、労働改善の取り組みとして国が行っている取り組みをいく保育士の労働環境には、多くの構造的な負荷が潜んでいます。
保育業務そのものに加えて、書類作成、会議、行事準備、保護者対応など、日々の業務は多岐にわたり心身の負担は大きくなっています。ベネッセの調査によれば、保育士の79%が「事務作業量の多さ」を負担と感じており、長時間労働も56%の方が過重と感じているという実態があります。また、研修時間の確保も難しく、スキルアップの機会が限られているのも現状です。
保育士が安心して働ける環境は子どもたちの健やかな成長を支える基盤です。
現場の声に耳を傾け、保育士が働きやすい環境をつくることが保育の質の向上につながります。

3.人間関係の難しさ

良好な人間関係が築かれているように見える保育園でも、保育士ならではの人間関係の難しさがあるようです。
●保育観の違い
子どもとの関わり方や教育の考え方など、保育士それぞれが持つ保育観が異なることで連携が難しくなるケースが多いようです。年齢や経験値の違いがありつつも、正解はない中で業務を行う難しさが想像されます。
●情報共有不足
一般的にシフト制勤務が多い保育現場では情報共有は必要不可欠です。しかし交代時間と緊急対応が重なってしまったり、伝達の時間が十分に取れなかったりするとうまく連携が取れないこともありストレスに感じる保育士が多いようです。
●安心して頼れる関係が築きにくい
感情労働が多い保育士の仕事では気持ちを共有できる環境が重要です。しかしシフト制で顔を合わせる機会が少ないとなかなか話す時間を作れなかったり、責任感が強い職種ゆえに悩みを打ち明けにくかったりするようです。

4.責任の重さ

保育士は命を預かるという重大な責任のもと、日々の安全管理に神経を使い、保護者路の信頼関係を築いていく仕事です。ベネッセの調査では約64%の保育士が「子どもを預かる責任の重さに負担を感じている」と回答しており、精神的な負担が大きいことがわかります。
特に担任や主任などの役職に就くと業務量が増えるだけでなく「何かあったときに自分が責任を問われるかもしれない」という不安が常につきまといます。こうした状況が続くとやりがいよりも負担感が上回り離職を選ぶ保育士が出てくると考えられます。

5.潜在保育士の多さ

こども家庭庁の調査によると
・保育士資格登録者数:約179万人
・実際に保育現場で働いている保育士:約68万人
・潜在保育士(保育の仕事に就いていない人):約111万人
➡全体の約62%が潜在保育士という結果が出ています。

待機児童問題と保育士不足の問題の同時進行をきっかけに、2016年頃から少しずつ潜在保育士の復帰支援制度が本格化してきている現在でもまだまだ潜在保育士が多いのが現状です。

保育士人材不足解消に向けた取り組み

長時間労働や責任の重さ、待遇の低さに加え、結婚や出産、子育てを機に退職した方が復職をためらうケースが多いのが現状です。こうした課題を解消するため、国や自治体では保育士処遇改善等加算による賃金アップなど、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。これらの施策を通じて、保育士が安心して現場に戻れる仕組みが少しずつ整えられています。

保育士処遇改善等加算

保育士の処遇改善を目的として、行政の加算制度がありましたが、最近ではそれらが整理されて、よりわかりやすい仕組みに見直されています。

処遇改善等加算の区分3は、保育士のスキルや経験が高まるとともに、待遇もアップする制度です。
これまでは、園長先生や主任など、限られた役職しかなくて、キャリアアップの道がとても狭かったんです。そこで新しく区分3ができて、保育士さんがステップアップしやすいように、いくつかの新しい役職が設けられました。役職に応じてお給料も見直されるので、頑張りがきちんと評価される仕組みになっています。

参考:令和7年度以降の処遇改善等加算について

さらに、研修を受けることで若手や中堅の保育士さんもキャリアを積みやすくなり、処遇の改善だけでなく、保育の質の向上にもつながると期待されています。

地方自治体による保育士の処遇改善の取り組み

保育士の待遇改善については、ここ数年社会的にも大きな関心が寄せられています。
昔から「保育士の待遇は厳しい」と言われてきましたが、残念ながらその状況は今も大きくは変わっていません。
これまでご紹介してきたような国の施策に加えて、保育士の確保に苦慮する自治体の中には、独自の取り組みを始めているところもあります。
たとえば、松戸市や大阪市、廿日市市などでは一定の条件を満たす保育士に対して支援を行っており、東京都や船橋市のように、すべての保育士を対象に処遇改善を進めている自治体もあります。
具体的な内容は自治体によって異なるため、気になる方はぜひ各自治体の窓口や公式サイトなどで確認してみてください。

人材不足を防ぐために施設ができることとは?

行政や自治体の施策ではすべてをまかないきれません。そこで施設が人材不足や流出を防ぐべく、賃金の向上やモチベーションアップの仕組みづくりなど、取り組めることについてご紹介します。

賃金の向上

保育士人材が取り合いになっている昨今の状況では、今いる職員が辞めないようにするために賃金や処遇への納得感を高めることが重要です。ですが国や自治体からの施策だけではすべてをまかなうことはできません。
そのため、園としても限られた予算の中でできるだけ工夫を行い、処遇に対する納得感や安心感を育てることが大切です。
また、評価の基準を明らかにするなど、評価されていることや理解されていると職員に実感してもらうことも大切です。

モチベーションアップの仕組みづくり

働く人のモチベーションをどう保つかは、現場にとって大切な課題です。保育士さんが前向きに働き続けるために、上記「2.労働環境の負担」の調査であげられた「事務作業量の多さ」・「時間労働」の改善案として、保育書類の最低限化(指導案や日誌の「簡易版フォーマット」の導入)、行事前の業務を分担して集中を避ける等、継続的に取り組みを行うなかでモチベーションアップの仕組みづくりの工夫をしてみましょう。

業務負担の改善

ICTシステムの導入で連絡帳・園便りの電子化や保育計画・指導案のテンプレート化+クラウド管理
を行い、アナログ帳票の削減を行うことで業務時間の大幅な改善が可能です。
また、紙おむつなどのサブスクリプションサービスの導入することで保育士のおむつの管理などの細かな手間やおむつはかせ間違い、保護者への声掛けを軽減することが可能です。中でも、Comfyのサブスクではトイトレプラン・在庫管理など保育士・保護者の双方に寄り添ったサービスを多数ご用意しています。園にあったオリジナルプランも作成することで、現場の方のお悩みも一つ解決できます。

まとめ

このように保育業界には人材が不足している要因はたくさんあります。
人材不足解消に向けた取り組みとして国や自治体からの施策の活用はもちろんのこと、施設でできることにも積極的に検討・取り組みを行い、時にはICTやサブスクリプションに頼ってみてはいかがでしょうか。

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