保育の課題・問題点とは?保育士の悩みや業界の課題と解決策
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保育の現場は子どもたちの成長を支える大切な場所ですが、その裏側には保育士が抱える悩みや業界全体の課題が存在します。この記事では、業界が抱える構造的な問題点とその背景をわかりやすく掘り下げていきます。
目次
保育士・保育業界の課題・問題点とは?
子どもたちの元気な声が響く保育園。その一方で、保育士の心には、「子どもたちと過ごす毎日は充実しているけど、ふと生活のことを考えるともう少しゆとりがあれば・・・」といった思いが潜んでいます。
待遇面の課題や保育士不足、少子化など、保育業界は、保育業界は今、さまざまな問題に直面しています。時代の変化とともに、根本的な改革が求められている業界ではないでしょうか。
保育士の待遇が悪い
大切な子どもたちの命を預かる責任も仕事量も多いのに待遇は控えめなこともあり、好きだからこそ続けているけどなと思うことも少なくないのではないでしょうか。
このような状況に疑問を感じて他業種に転職する方が増えてしまうと、さらに人材不足が悪化してしまいかねません。
そこで、労働改善の取り組みとして国が行っている取り組みをいくつかご紹介します。
◆給与の引き上げ
・2024年度に人件費を10.7%引き上げる過去最大の待遇改善が実施されました。
・また、月額最大4万円の加算や、月額9千円の一律加算など複数の「待遇改善等加算」が導入されています。
◆補正予算の投入
・処遇改善のために1,150億円の補正予算が計上され、保育士の給与アップに充てられています。
◆2025年度から「モデル賃金の公表義務化」が開始
・各施設が職員ごとの給与額や人件費比率などを都道府県に報告し、都道府県は「ここdeサーチ」で情報公開をする流れです。
・「モデル賃金」「人件費率」などが公表されることにより、施設ごとの実態が見えるようになります。
引用:保育士のモデル賃金公開、待遇改善へ「見える化」…給与低く人手不足が深刻化/読売新聞オンライン
保育士の業務が多忙化している
保育士の1日は子どもたちの登園とともに始まります。保育活動に加え、施設の衛生・安全管理や連絡帳の記入、行事の準備、保護者対応、会議、掃除など業務は多岐にわたります。
子どもたちの安全と成長を考える責任は重く、気の抜ける時間がない中で、園の状況によっては持ち帰りの仕事やサービス残業が常態化している場合も多く、業務負担に悩む保育士も少なくないのが現実です。
そんな現状を改善をするためには業務の効率化や人員体制の見直しなど労働環境の改善は急務といえるでしょう。
労働環境を見直すために国や自治体はいくつか取り組みを行っています。
◆保育士の配置基準の見直し・加算の新設
・R5年度 ・・・ 4、5歳児の配置基準をR6年度に改定することが決定
・R6年度 ・・・ 3、4、5歳児の配置基準が変更
・R7年度 ・・・ 1歳児の配置改善の加算が新設(4月~)
◆保育士相談窓口の設置(宮城県仙台市)
仕事や職場の悩みを匿名で相談できる場を設けており、保育士や臨床心理士などの専門スタッフに気軽に相談できる窓口をR7年9月に開設。
◆保育士・保育所支援センターの開設(岡山県)
子育て支援の充実に向けて保育士の確保を図ることを目的にH29年に開設。就職支援のほか、現在働いている方の支援などを実施中。
地域によって支援の幅が異なりますが、今回ご紹介しているのは一部のためご自身の地域の取り組みをぜひ調べてみることをおすすめします。
引用:
・こども家庭庁・ハローミライの保育士・働く環境参照
・保育人材確保に関する取組事例集参照
・岡山県保育士・保育所支援センターHP参照
保護者対応の負担が大きい
保育士の仕事をするうえで「保護者対応」は避けては通れない業務です。しかし、保護者対応が保育士の業務負担や精神的ストレスに直結するケースが多く、下記のような悩みが挙がっています。
・お迎えの時間を守ってくれなくて困る
・集団生活で避けられない事象に対して「園の管理不足」と責められてストレスに感じる
・おむつや着替えや提出書類を毎回忘れられて本来しなくていい業務が増える
・家庭でのしつけを「園でお願いします」と丸投げされて困る
少し挙げただけでもとても負担になり頭が痛くなる内容が多いことがわかります。
そうした課題を解決するために下記のような対策を行っている園が多いようです。
◆園全体で対応を統一
個々の保育士の判断に任せず、園としての対応方針を明確にすることがポイントです。チームとして方針を決めて、定期的な情報共有を徹底しできないことはできないと「園の方針」を伝えるようにしましょう。
◆新人保育士へのサポート体制を整えるとともに、保護者対応スキル向上のための研修を実施
特に新人の保育士は経験値がなく対応方法を誤ってしまうことが多いかと思います。問題が起こってしまった時に悪化しないような体制作りが大切です。また、「傾聴力・共感力・印象力」などを鍛えることのできる研修を取り入れることも効果的です。
行事ごとに負担が発生
保育園の行事は、子どもたちにとって成長の節目を彩る大切な体験であり、家族にとってもかけがえのない思い出となります。一方で、その舞台裏では、保育士たちが膨大な準備や調整に追われている現実があります。
厚生労働省の調査によれば、保育士の離職理由の上位には「人間関係」(33.5%)が挙げられ、「給与が低い」「労働時間が長い」が続きます。こうした課題の背景には、日常業務に加えて行事準備が保育士の負担を増大させている現状があります。
J-STAGEに掲載された研究では、特に若手の保育士が行事にやりがいを感じながらも、期待に応えようとするあまり心理的なプレッシャーを強く受けている傾向が明らかになりました。子どもたちのためにと懸命に取り組むその姿勢が、いつの間にか心身の負担につながっているのではないでしょうか。
このような状況が続けば、保育士のモチベーションや定着率にも影響しかねません。だからこそ今、行事のあり方を見直し、保育士の声を反映した計画づくりへとシフトすることが求められています。
子どもたちの笑顔の裏には、日々の細やかな努力があります。その努力が正当に評価され、無理なく発揮できる環境を整えることこそ、これからの保育現場が目指すべき姿ではないでしょうか。
待機児童の問題
待機児童について、直近10年の中で2017年が26,081名と最も多く、近年は大幅に減少し全国の87.5%の自治体では待機児童ゼロとなっております。

ですが、保育所等の施設数は増えており利用園児は減っている現状の中でも、2024年時点で2,567名とまだまだ待機児童が存在しています。これには地域差が大きく関係しており、都市部や郊外では共働き世帯の増加や新興住宅地やマンション開発により、若年層・子育て世代の急増が保育ニーズを急増させているようです。
また近年は、
➀家や駅からの距離が近い
➁子ども同士の雰囲気が良い
➂保育士の関わり方が丁寧
➃園内の清潔感と安全性がある
➄教育方針が明確で共感できる
などの条件の良い園に申込が集中し、他の園は空いていても希望園に入れなくて結果的に待機児童になってしまうといったことも発生しています。
さらにきょうだい児がいるご家庭の場合は小規模園での希望は少なく、通常の認可保育施設を希望する方が多くいるなど、様々な理由があり待機児童がまだまだ存在する現状があるのです。
引用:概要資料(令和6年4月の待機児童数調査のポイント)
潜在保育士が多く、人材が不足
”潜在保育士”とは、保育士資格を持っているけれど、保育の現場で働いていない人のことを指します。
保育士資格を持ち、登録されているが社会福祉施設等で従事していない方々は111万人もいます。保育士不足の解消にはこの層の活用が鍵であることから、退職の現状や過去に保育士として就業した方が再就業する場合の希望条件を理解する必要があります。

まず保育士として就業した方が退職した理由として、「職場の人間関係」「仕事量が多い」「労働時間が長い」「給料が安い」などがあげられます。
潜在保育士の再就業や今いる保育士を守るためにも、こども家庭庁が施策として挙げている
・相談窓口の設置
・ICT化・DXの推進による負担軽減
・保育補助者、保育支援者の配置支援
・巡回による働き方改革支援
・処遇改善の取組み
などが今後重要な要素となると考えられます。
ICT化が進んでいない
保育士の仕事を助けるために、連絡帳の記入や事務作業などの「保育の周辺業務」をICT(デジタルツール)で効率化することはとても大切です。こうした工夫によって、保育士が本来の仕事である「子どもと向き合う保育」に集中できるようになり、働きやすい職場づくりにもつながります。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、保育ICTの補助金対象となっている機能には、「登降園の管理」「保護者との連絡」「保育計画や記録」「キャッシュレス決済」の4つがあります。これらのうち、どれかを導入している保育園は全体の約85%と多く、特に「保護者との連絡機能」は導入率が高いようです。
一方で、まだICTを導入していない園もあり、その理由としては、導入にかかる費用や維持費(ランニングコスト)が負担になっていることが挙げられます。
実際にICTを導入している園の多くは、補助金を活用して導入しているため、今後この補助制度がさらに充実すれば、これまで以上に導入が進み保育士の方の負担軽減にもつながっていくと考えられます。
引用:保育施設等における ICT 導入状況等 に関する調査研究事業 報告書
保育士の負担を減らすための対策は?
保育士さんが安心して長く働ける環境をつくるには、業務の負担を少しでも減らす工夫が欠かせません。
最近では、保育現場を支える取り組みとして、ICTの活用や保育補助者の導入、業務の効率化などが少しずつ進んできています。たとえば、連絡帳や記録のデジタル化によって、書類作業の時間が短縮されたり、補助者のサポートによって保育士が子どもと向き合う時間をしっかり確保できるようになったりと、現場の働き方が少しずつ変わってきています。
ICT導入の進行
保育分野における ICT ツールの導入目的は、今行っている業務をただデジタ ル化することではなく保育士の働きやすさ、保護者との良好な関係構築のためにあります。
また、導入する際は、「保育の質の向上」を常に見据えることが大切です。
うまく活用することで下記のような時間の確保が期待できます。
・子供と向き合う時間が増える
・業務が効率化されることで日々の保育を振り返れる時間が増える
・保護者と一緒に子供の成長を見守ることができるようになる
ICTを導入するには、まず「何を改善したいのか」をはっきりさせることが大切です。
たとえば、保育者同士の情報共有をスムーズにしたい、保護者とのやり取りをもっと簡単にしたい、請求業務の負担を減らしたいなど、目的を明確にしましょう。
そのうえで、目的に合ったICTツールを選ぶことが、導入の第一歩になります。
保育補助者の活用
保育の現場では子どもたちと向き合う保育士のことを支えてくれる存在がいます。それが「保育補助者」です。
保育補助者は、保育士資格がなくても働けることが多く、保育士の業務をサポートする役割を担っています。
たとえば、園庭などの共有スペースの管理を任せることで、掃除の担当を決めるといった細かな事務作業が減り、主任保育士の負担も軽くなります。
また、補助者は子どもたちと関わる場面も多く、日々の様子を保育士に伝えることで、子どもへの理解が深まることもあります。こうした情報の共有は、保育の質を高めるうえで欠かせません。
全国の自治体に設置されている「保育士・保育所支援センター」やハローワークで保育補助者に関する相談ができます。ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
業務の効率化
ICTの活用や保育補助者の活用で、登降園管理や保護者との連絡、 行事・イベント準備・・・など、保育士の業務を効率化することが可能です。効率化を図ることで子どもに向き合う時間を増やすことができますが、これらには園負担のお金がかかります。
しかし、「おむつサブスク」は店頭で購入するのとほぼ同じ費用で利用できるうえに、準備や管理の手間を大幅に減らしてくれる、保育現場にとって画期的な仕組みです。
中でも、Comfyのおむつサブスクではトイトレプラン・在庫管理など保護者・保育士それぞれに寄り添ったサービスを多数ご用意しており、園にあったオリジナルプランも作成できます。お気軽にお問い合わせください。
まとめ
このように保育業界には悩ましい課題が多く存在しています。特に保育士の人材不足は大きな課題であり、それに伴う課題もたくさんあります。
しかし、日々成長していく子どもに関わることで受ける刺激ややりがいなど得るものがたくさんあります。
今後、国や自治体による支援の拡充や、専門業者への業務委託が進むことが現場の負担軽減や保育の質の向上につながるのではないでしょうか。
持続可能な運営体制の実現に向けて、できることから1歩ずつ業務改善を行ってみてはいかがでしょうか。